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2021.10.25

COLUMN DESIGN

【月曜連載企画】サービス付き高齢者向け住宅の設計

【月曜連載企画】サービス付き高齢者向け住宅の設計

BIMを主力に、オフィスや障がい者施設、介護施設、保育園、店舗など様々な用途の施設設計を、

鹿児島、福岡、東京など全国のエリアで活動している設計事務所、ixreaです。

 

10月もラストウィークになりましたー

本当に一ヶ月って早いですね・・・

そう言ってると今年もすぐに終わりそうですが(^^;)

 

月曜連載企画、今回はサービス付き高齢者向け住宅についての第二弾です!

建築基準法上は「共同住宅」の扱い

サービス付き高齢者向け住宅は、建築基準法上はあくまでも「共同住宅」という扱いです。

ただし、同施設内に居住者を対象にした食事や浴室などのサービスを提供する施設が併設される場合は、

取り扱いが異なる場合もあるので注意が必要です。

 

また、共同住宅とはいえ高齢者のみの入居を想定しているため、

防火、避難等に関する部分は、特段の配慮が必要です。

 

法律さえ満たしておけばOKというわけではないという事ですね!

この辺は、携わる設計者によって大きく変わる部分かと思います。

 

消防法の取り扱いは、管轄の行政によって大きく扱いが変わりますので、注意が必要です!

建築基準法よりも消防法はより地域の実情に合わせて運用されるケースが多いため、

必ず事前確認が必要です。

消防設備の内容はイニシャル&ランニングコストに大きく影響しますので、

事業計画の際はしっかりと押さえておきたいポイントです。

 

サービス付き高齢者向け住宅は自治体への登録が必要

サービス付き高齢者向け住宅として運営していくには認可が必要で、

都道府県若しくは政令指定都市(中核市)に届出を提出する必要があります。

 

新設や改修によるサービス付き高齢者向け住宅の設置については、

国や地方自治体の補助もあります。

 

いずれにしても、開設したい事業者は、各自治体の管轄部署にまずは問い合わせが必要です。

 

新設や改修どちらにしても、初期投資が大きな計画となります。

事業計画や補助金申請などにも設計事務所が携わるのがベストかと思います。

 

サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けるには、通常の共同住宅の基準にプラスして、

様々な基準が設けられています。

 

大きな特徴は、

・個人の居住部分の床面積が25㎡以上(一定の条件を満たしたら18㎡以上)

・バリアフリー構造(高齢者の居住の安定確保に関する法律に遵守した構造)

・緊急通報装置の設置

でしょうか。

 

他にも細々と基準はありますが、専門的な部分になりますので、

どう満たしていくかは設計事務所に委ねることになると思います。

 

ixreaの設計の特徴

ixreaで設計を進めるにあたり、

様々な基準を満たすことは最低限ですが、

その上で、より高齢者の生活や安全性に配慮しつつ、

コストを抑えながら安っぽくない設計を考えています。

 

内容を少しご紹介しますー!

 

共用廊下は原則室内に

エレベーターホールから各居室へ続く廊下は、原則室内としています。

共同住宅で多いのは外廊下じゃないでしょうか?

そうなるとどうしても天気の悪い時は床が濡れて滑りやすくなります。

 

コストは上がりますが、高齢者の安全性を考えて、

なるべく廊下は室内として、建物内の移動が安全に行えるように配慮しています。

当然廊下には両側に手摺が設置されます。

 

玄関の出入りはICカードで管理

サービス付き高齢者向け住宅には見守りサービスも付属してきます。

その一環で、「外出してから長時間帰ってこない」というケースも見守りできるよう、

玄関の開閉をICカードで行うようにしています。

このICカードで、出入りの時間を記録しておくことができます。

 

これで、万が一何か問題が発生したときに、

いつ外に出て行ったのかを確認することができるようになります。

外部には防犯カメラを設置する事も多いですが、

ピンポイントで時間を確認できるので有効です。

 

これは通常の共同住宅にはない設備ですね。

 

水廻りは車椅子でも使いやすいよう配慮

サービス付き高齢者向け住宅は介護度の低い、自立した生活ができる高齢者を対象としていますが、

車椅子使用も想定しています。

 

1Kの賃貸マンションでは手洗い設備がユニットバス内にあったり、

キッチン併用で専用の手洗い設備が無い場合も多いです。

若い人が住むにはそれで十分ですが、高齢者向けは配慮が必要です。

 

ixreaでは1Kでも必ず脱衣所を設置し、そこに専用の手洗い設備を設けています。

手洗い設備も車椅子対応型のものを採用しています。

 

ユニットバスの内部も各部手摺を設置しています。

 

緊急通報装置は使いやすいように配慮

もしもの時の緊急通報装置ですが、

寝室や居間、水廻りの壁面に、ボタンを設置するケースが多いです。

病院のナースコールと一緒ですね。

 

ところが、壁面に設置していると、

倒れた場所によっては手が届かないという問題があります!

かといっていろんな壁に設置するわけにもいかないので、

基本的には首から下げて携帯できる無線式のボタンとしました。

これなら、どこにいてもすぐにボタンが押せます!

 

ただ、トイレと浴室については固定式にしています。

浴室は防水機能が必要なため。

トイレは、夜ベッドから起きてトイレいく際に、わざわざ携帯しなくても大丈夫ように配慮しています。

 

サービス付き高齢者向け住宅は飽和状態?

サービス付き高齢者向け住宅の制度が始まって10年経ちます。

その間、全国各地でかなりの戸数が整備されています。

 

ではもう飽和状態で、サービス付き高齢者向け住宅を建てる余地はないのか??

それは次回のお楽しみという事で(^^)/



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