COLUMN

COLUMN

2026.01.13

BIM

人材不足時代の体制づくり|BIMオペレーターアウトソーシングを前提に考える運用戦略

現代の建築業界では、BIM導入が進む一方で、運用フェーズに課題を感じている企業は少なくありません。特に、BIMオペレーターの確保や体制づくりに悩むケースは増えています。

しかし、BIM運用が上手くいかない原因は、単なる人手不足だけではありません。体制や役割、判断の仕組みが整理されていないまま運用が始まっていることが、多くのボトルネックになっています。

本記事では、BIMオペレーター不足という課題を入口に、BIM運用を前進させるための体制づくりの考え方と、アウトソーシングを含めた現実的なリソース戦略について整理していきます。

BIM運用が止まりやすい理由は「人不足」だけではない

BIMが思うように回らない背景には、単純な人手不足だけでなく、体制や役割、判断軸が整理されないまま運用が始まっていることがあります。

誰が判断し、誰が管理し、どこまでを成果とするのか。この前提が曖昧なままでは、人を増やしても運用は安定しません。現在では、以下の理由からBIM運用が止まっている企業が存在します。

BIM運用体制が追いついていない

BIM運用が止まる理由の一つとして、BIMツールの導入自体は進んでいるものの、それを支える運用体制の整理が後回しになっているケースが少なくありません。

ツールが導入されたものの、誰が管理し、どのような流れで運用するかが定まらないまま、現場での対応に委ねられている状況も見られます。

属人化・判断不在がボトルネックになりやすい

運用体制が整理されていない場合、判断や調整が特定の個人に依存しやすくなります。
誰が最終的に決めるのかが曖昧なまま運用が始まることで、確認待ちや手戻りが発生し、BIM全体の進行を滞らせ、結果的にBIM運用が止まる要因となります。

BIM運用において最初に必要なのは「マネジメント設計」

BIM運用を行う際、多くの企業では「まずBIMオペレーターを確保しよう」と考えます。しかし、BIM運用を安定させるうえで最初に必要なのは、オペレーターを確保することではありません。

重要なのは、誰が判断し、どのルールで運用を統制するのかというマネジメント設計です。この前提が整理されていない状態では、オペレーターを確保しても業務は属人化し、確認待ちや手戻りが発生しやすくなります。

BIMマネージャーの役割と重要性

BIMマネージャーは、BIM運用全体を統制する役割を担います。運用ルール設計・判断基準の整理・管理者の調整・品質管理などBIMを機能させ、何を判断すべきか迷うことなく運用することが可能です。

BIMマネージャーが不在の場合の選択肢

すべての企業が、最初からBIMマネージャーを内製できるわけではありませんが、人材確保や育成のハードルを考えると、内製にこだわらない選択も現実的です。

このような場合、外部の専門人材やコンサルティングを活用し、マネジメント機能のみをアウトソーシングするという選択肢もあります。重要なのは、誰がマネジメントを担うかです。

マネジメントがあることで運用が成立する理由

マネジメント設計が行われているBIM運用では、判断の迷いが減り、業務の進行がスムーズになります。運用ルールや判断軸が共有されている環境にすることで、担当者が変わっても一定の品質が保たれ、再現性のある運用が可能になります。

品質・スピード・再現性を安定させるためにも、マネジメントは欠かせない要素と言えるでしょう。

BIMオペレーターは「体制を構成する一要素」

BIMオペレーターは、BIM運用を支える重要な役割を担う存在です。
一方で、BIM運用全体の中で見た時、必ずしも主役となる役割ではありません。

なぜなら、BIMオペレーターの作業は、マネジメントや運用ルール、判断軸が整って初めて機能します。この前提が整理されていない状態では、オペレーターを増やしても運用は安定しません。そのため、まずは体制全体の設計を行い、その中でBIMオペレーターの役割を正しく位置付けることが重要です。

そもそもBIMオペレーターが担う実務領域とは?

BIMオペレーターは、BIM運用における実務を担う役割です。設計情報をもとにしたモデリング、図面作成、属性入力、モデル整理など、日常的な作業を通じてBIMモデルを形にしていきます。

これらの業務は、BIMの品質や生産性を左右する重要な作業です。ただし、作業の優先順位や判断基準が整理されていなければ、オペレーターの作業は迷走し、手戻りや非効率を生みやすくなります。

BIMオペレーターを確保したが、BIMが回らない?

BIMオペレーターは確かに重要ですが、オペレーターを確保したとしても、BIM運用が改善するケースは多くありません。

判断者の不在や、運用ルールが曖昧だと、確認待ちや手戻りが増え、結果としてBIM全体の進行が滞ってしまいます。

そのため、BIM運用が止まる原因は、人手不足そのものでなく、人が機能する前提となる体制が整ってないことにあります。

BIMオペレーターは内製でなくても成立する

BIMオペレーターは、必ずしも自社で内製する必要はありません。体制やルール、判断軸が整理されていれば、アウトソーシングや外部リソースを活用した運用も十分に成立します。

重要なのは、人を抱えることではなく、誰が管理し、どこで判断し、どのように品質を担保するかという仕組み作りです。

近年では、国内外注だけでなく、海外BIMオペレーターを含めたリソース管理も現実的な選択肢となっています。コスト面の調整のしやすさや、高い技術をもったBIMオペレーターを起用できるなど、内製だけでは得られないメリットも存在しています。

まず体制を整え、その上で内製・外注・海外リソースをどう組み合わせるかを考えましょう。この順序で検討することが、現実的で継続性のあるBIM運用につながります。

また、情報管理という点においてもBIMは有利です。基本的にプロジェクトのデータはクラウドで管理されます。クラウドの権限を自社で持つことで、アウトソーシング先にデータを渡す必要は無くなり、従来とは異なるセキュリティを確保することができます。

BIM体制づくりの選択肢

BIM体制づくりにおいては、必ずしも人を抱えることだけが選択肢ではありません。 内製・外注・海外人材の活用など、状況やフェーズに応じて複数の選択肢を組み合わせることで、無理のない体制を構築することが可能になります。

BIM体制の内製化メリット・デメリット

内製化のメリットは、BIMに関する知見や判断基準を社内に蓄積しやすい点にあります。

ノウハウを社内で共有しやすく、将来的な標準化やルール整備につなげやすい点は内製ならではの強みです。

一方で、固定コストの増加や採用・育成の難しさといった課題も伴い、運用負荷が高まるケースも少なくありません。

国内外注によるBIMオペレーション

 国内外注を活用することで、即戦力となるBIMオペレーターを柔軟に確保することが可能になります。主に採用や育成にかかる時間を抑えつつ、業務量の増減に応じたリソース調整がしやすい点がメリットです。

ただし、外注では品質や進行速度が担保されるわけではないため、運用ルールや判断軸、レビュー体制といった前提条件の整理が必要となります。

海外BIMオペレーター活用という選択

海外BIMオペレーターの活用は、リソース確保の幅を広げ、コスト面でも柔軟性を持たせる選択肢となります。時差を活かした作業分担が可能な点も特徴です。 

一方で、言語や文化の違いを含め、指示内容や仕様の共有方法が未整理では、認識ズレや手戻りが発生しやすくなるため、ルールや判断軸を明確にしたうえで体制に取り組むことが重要です。

アウトソーシングを前提にBIM運用を成立させる仕組み

アウトソーシングを前提としたBIM運用では、人材そのものよりも、運用を支える仕組みが重要になります。

誰が作業しても同じ品質を保てるよう、ルールや判断軸を整えた体制づくりが、BIM運用を安定させる基盤となります。

ルール・標準化・命名規則の整備

BIM運用を外部リソースと共有するためには、ルールや標準、命名規則を明確にしておくことが欠かせません。

誰が作業しても判断に迷わず、一定の品質が保たれる前提を整えることで、アウトソーシングを含めた運用が安定します。

CDEによる情報管理とレビュー体制

外部や海外リソースを活用する場合、情報の集約と共有方法が運用の安定性を左右します。

CDEを用いてデータを一元管理し、更新履歴やレビューの流れを明確にすることで、担当者が変わっても破綻しない運用が可能になります。

内製と外部を組み合わせたハイブリッド体制

内製と外部リソースを組み合わせることで、業務量の変動に柔軟に対応できる体制を構築できます。

繁忙期と閑散期の差が大きいBIM業務において、固定化しすぎない構成は、運用を継続させるうえで有効な選択肢となります。

BIM運用を前進させるために

BIM運用を前に進めるために重要なのは、オペレーターを確保することそのものではありません。

体制をどう設計し、誰が判断し、どのように運用を回すのか。この前提が整ってはじめて、BIMは安定して機能します。内製にこだわらず、外部リソースも含めた体制を柔軟に考えることが、これからのBIM運用における現実的な選択肢となります。

・最適な体制は企業フェーズによって異なる

BIM体制の正解は一つではありません。導入段階か、定着・拡張フェーズかによって、必要な役割やリソースの考え方は変わります。

・マネジメントを起点に体制を組み立てる

BIM運用では、まずマネジメントの役割を明確にすることが重要です。判断軸が定まることで、実務体制は柔軟に組み替えることが可能になります。

・内製とアウトソーシングをバランス良く考えることが現実的

すべてを内製で抱える必要はありません。リスクヘッジを行うにも、内製とアウトソーシングをバランス良く取り組んで体制を設計することで、無理のないBIM運用を継続しやすくなります。

BIM運用は「体制設計」から始める

BIM運用が思うように進まない背景には、オペレーター不足そのものではなく、体制や判断の仕組みが弱いことがあります。まず必要なのは、BIMマネジメントを起点とした体制設計です。

BIMオペレーターは、体制を構成する重要な要素ではありますが、必ずしも内製にこだわる必要はありません。内製とアウトソーシングを前提に体制を組み立てることが、現実的で継続性のあるBIM運用につながりますので、まずは体制から組み立てていきましょう。

ixreaでは、人材を提供することを目的とした支援は行っていません。BIM運用が回り続けるための、体制と運用の仕組みづくりを重視しています。

BIMマネジメント設計や体制整理を通じて、判断軸や役割分担、業務フローを明確にし、属人化しないBIM運用を支援します。

また、国内外のリソースを含め、企業フェーズやプロジェクト特性に応じた体制提案も可能です。内製・外注・海外活用を前提に、無理のない運用体制を構築します。

運用開始後も、伴走型でBIM運用を支援し、状況に応じた改善と最適化を行いますので、まずはご相談ください。

この記事を書いた人

吉田 浩司

吉田 浩司 / 株式会社ixrea  代表取締役

建築設計とBIMコンサルを軸に、多様なプロジェクトに携わる。設計事務所の経営に加え、BIMを活用した教育プログラムやDX支援にも注力。(公社)日本建築士会連合会青年委員長としても活動し、業界全体の次世代育成や地域活性にも取り組む。新しい技術を活用し、建築と社会をつなぐ仕組みづくりを目指している。

BIM ”の他の記事